メモ

色々なものが置いてあります


::おめでとう!! セトカノ

「あ、起きた?」

目を覚ますと、向かいのソファーに座って居たカノは、先程まで読んでいた雑誌を置いて話しかけてきた。
どうやら、バイトから帰ってきた後、疲れたので少しの間、ソファーで休んでいたら、いつの間にか寝てしまってたらしい。

ふと、時計を見ると、針が12時を指していていた。
寝ている間に今日になっていたようだ。何気なくカレンダーを見ると、5月10日の所に印が付いていた。そう言えば今日はカノの誕生日だったっけ。
カノに問いかけると、時計を見て「そうだね」と言った。

「誕生日おめでとうっす……って、あぁ!」

そこで思い出したのだ。

「プレゼント!プレゼント用意してなかったっす」

っと言うか、今の今までプレゼントの事を忘れていた。
そんな俺の様子を見たカノは、『そんなことだろうと思った』みたいな顔をしてため息をついたあと、プレゼントの代わりに一つ、願いを聞いて欲しいと語った。

「え、えっと……よかったら。よかったらだよ?その、今日だけ、セトの時間を僕にくれないかな……?」

カノは、目を泳がせながら小さな声で言った。

ぽかんとしていると、少し悲しそうな声が聞こえてきた。

「やっぱり駄目だよね」

「何言ってるんすか!いいに決まってるっす!」

正直、プレゼントを用意してなかったのを思い出した辺りから、そうしようと考えていたのだ。

「……え?本当に良いの?」

「うっす!あ、そうだ。カノにどうしても言いたい事があるっす」

今から伝える言葉は、前から君に伝えたいと思っていた言葉。

俺は一呼吸置いてから言った。

「生まれてきてくれてありがとうっす」

それを聞いたカノは小さく笑い……

「……うん。ありがとう」

そして、照れくさそうに微笑んだ。
 

2014.05.11 (Sun) 21:38

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