メモ

色々なものが置いてあります


::奇病なったカノの話し(シンカノ)

久しぶりにアジトへ行くと、あいつは背中から虫の羽が生え、進行すると、まるで別人のような人格になる。と言う病気になっていた。

俺が近付いたり、話しかけると、とても嫌な顔をし、自室へと戻る。他の奴にはそこまではしないのに。
いくら病気のせいだとは言っても、やっぱり傷付く。

何故俺だけが避けられるのだろうか。
……良く分からない。

だから寝ている間だけでも近くに居たいと思い、側に居る事にした。
こうしていると、また昔みたいにからかわれたり、ふざけたり、お前の笑顔を側で見れるんじゃないのか。
そんな錯覚をしてしまう。

俺は起こさないようにそっと、頬に触れた。すると、唇に一つの水が落ちた。
不思議に思い、自分の顔を触ってみた。
どうやらあの水は俺の涙だったらしい。
そう自覚すると、涙が止まらなくなってしまった。

「カノっ……」

「………ん」

知らない間に名前を呼んでいたらしい。カノがゆっくりと目を開けた。
やばい。そう思った瞬間だった。

「……あれ?なんでシンタローくん僕の部屋に居るの?もしかして寝込みを襲いに?」

「んなわけあるか!……って、おい」

ふと気付いた。カノと普通に会話をしている事、背中にあの羽がない事。

「あっ、もしかして治った……?」

「……そうみたいだな」

「良かったー。これでシンタローくんと普通に話せるね!」

カノはにこっと笑った。
ずっと見たいと思っていたカノの笑顔。

「あぁ、そうだな」

俺も釣られて笑い、カノの頭を撫でた。










机からひらりと一枚の紙切れが落ちた。
その紙には、『薬は愛する者の涙です。』と書かれていた。

 あとがき

2014.02.09 (Sun) 00:21

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