メモ

色々なものが置いてあります


::セトカノで奇病なったカノ

カノは左目から体を覆う蔦が伸びてくるという奇妙な病気にかかった。
それだけならまだよかった。
その病気は進行すると、ひとつひとつ言葉を忘れてゆく病気だった。
 昔のカノはいつも明るく、色々な事を言っていた。今では表情は消え、言葉も話さなくなっていた。蔦はそんなカノを守るかの様に体中に巻き付いている。

もう一度あの笑顔が見たい。
もう一度あの声が聞きたい。
もう一度君を抱きしめてたい。

この願いは叶わないのだろうか。
そう思って居た時の事だった。

「カノ!やっと薬が見つかったっすよ!」

カノは相変わらず無表情で俺の言葉を聞いていた。
そんなカノに一つの花の種を差し出した。

「これを飲んで欲しいっす」

言葉を理解出来なくなったカノに一生懸命、身振り手振りで伝えた。
ようやく理解したカノは種を口に入れ飲み込んだ。
すると今までカノの左目から生え、体を覆っていた蔦はぱらぱらと砕けた消えて無くなった。

「………………せ、と」

「っ……!」

俺は思わずカノに抱きついた。
やっと治ったんだと思ったら涙が溢れて止まらない。

まだ上手く話せないカノはゆっくりと語った。

「あり……が、とう。いま……まで、ずっと、そば……に、いて、くれて。ずっと、いいたかっ……た。ありがとう、セト」

俺は返事の代わりにカノの体を強く抱きしめた。



知ってるっすか?あの時俺が飲ませた花の種。胡蝶蘭って言う花の種なんすよ。因みに花言葉は…………





あなたを愛してます

 あとがき

2014.02.06 (Thu) 22:39

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