メモ

色々なものが置いてあります


::櫂アイで六兆年パロ そのご

一人、残された女の子供は、地面に座りこんで上を見上げた。
何かを見ている。
去っていった男を?それとも、空を?
夕日がふりそそぐ。赤い光が俺の部屋をも照らす。
赤い朱い紅い、血とおなじ色が部屋を染める。赤い箱をつくるみたいに。

草むらに座る存在が、影になって黒くなる。
殴られて血を流した唇が、何かを言った気がした。

――に た い 。

聞こえない。何て言っているのだろう。

―――さ れ た い 。

風が吹く。

夕日に赤く染まった草むらが揺れる。たくさんの声をかきけす。

「 ぼ く を ―― し て く れ る ―― と ――― せ て 」

願う?願う?願う?

笑う誰かの声が聞こえる気がする。
うずくまる人影は笑ってなんかいないのに。
他には誰もいないはずなのに。

願う?願う?願う?

声が、して。

「 お ね が い 」

世界が一瞬、黒く見えた。
 

2013.12.29 (Sun) 12:45

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