”鬼”  (93ページ)

寝苦しいほど暑くなってきたある日。皆が寝静まった頃に屯所の門から大きな音が鳴った。風間千景、天霧九寿、不知火匡が襲撃してきたのだ。大きな音の正体は不知火が鉄砲を撃った音だった。



「っなんで、お前らが!?」



一番に飛び出してきた土方に続き、原田や新八もやって来、驚きの声を上げた。沖田が少し遅れてやってきたところで風間は言った。



「天霧、下ろせ」



皆には見えていなかった人が天霧の肩から下ろされる。どさっと適当に投げ落とされたのは傷だらけの名前だ。



「・・・名前ちゃん?」



風間の刀に斬られた痕に天霧に殴られたのであろう瘤、不知火に付けられた銃跡。名前の体や顔には傷がたくさんあり、血まみれになっていた。



「こやつ、余計なことをしたからな。躾が足りんぞ」



動かない名前の髪を掴んで無理矢理顔を上げさせ幹部達に見せ付ける。



『・・・っ』



僅かに眉が寄り、まだ息があることが分かる。風間は掴んだ髪を離し、名前は顔から落ちていった。そして、動くことができない名前を風間は蹴りつけた。当然、名前は蹴りを交わすことなどできずに真正面から受け、沖田の足元まで転がった。大量の血の痕を残して。



「名前ちゃん!!」



沖田は名前の頭を抱えあげる。名前は『ハァハァ…』と浅い呼吸を繰り返している。先程は遠くて見えなかった傷がよく見える。一通り名前の状態を確認すると即座に風間へと斬りかかった。



「総司っ!!チッ、しかたねぇな」



土方も沖田に加勢し、二人対風間、そして新八対天霧。原田対不知火の戦いが始まった。

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