出会い (7ページ)
「このまま待っていたら、きっと殺される・・・」
新撰組の都合を優先するに決まっているもの。逃げなきゃ。
手の拘束も解かれて夕日の差し始めた赤く染まる部屋で千鶴はひざの上に置いた拳をぎゅっと握り締めてつぶやいた。
『・・・千鶴に判断は任せるよ。俺は何があっても千鶴を守るから』
自分は千鶴に従う。千鶴にすべて任せるけれど、千鶴のせいには絶対にしない。何がっても俺が千鶴を守る。これは江戸を離れる前に自分で作ったものだ。それに従って俺は行動する。
「大丈夫そうかな・・・ひゃっ!!?」
「この馬鹿ども。逃げられるとでも思っていたのか」
千鶴に気配を察しろという方が無理だった。なんですぐそこにいる影に気が付かないんだなんて言っても無意味だろう。
後ろから首根っこをつかまれて二人して土方に持ち上げられていた。名前に関しては土方と大して変わらない為、地に足はついているのだが。
「離してくださいっ」
「逃げれば斬る・・・俺は昨日、確かにそう言ったはずだ」
『逃げなくても口封じのために殺すでしょう?』
「私にはまだやらなきゃならないことがある・・・・・・・え?」
必死に土方の手から逃れようともがいていた千鶴は急に地面に足がついて言葉をとめた。
「命を懸けるほどの理由があるなら洗いざらい話してみろ」
二人を静かにおろすと土方は曇りのない目を向けられ、思わず千鶴は頷いた。