出会い (6ページ)
本当は見ていたが、あの光景が新選組にとって見られたくないものだったとするならば、千鶴は見ていないと主張する方がいいだろう。自分はともかく、千鶴は守られる。その思惑に千鶴も気が付いたらしい。
「私、何も見てません」
「本当に?」
そこから誘導尋問が始まり、名前が助ける前に千鶴はうっかりと間接的に目を開けていたということを彼らに漏らしてしまった。
「なら、隊士共が浪人を切り殺しちまったとこはしっかりと見ちまったわけだな」
「え・・・」
「お前、根が素直なんだろうな。それ自体が悪いってわけじゃねぇが・・・」
「もう面倒なので殺しちゃいましょうよ」
『いい加減にしてください。先ほどから好き勝手に自分たちの事情を押し付けて。そもそも、俺たちがこんなことになったのは全て貴方たちの秘密とでも言うべき存在の管理が不十分だったからでしょう。自業自得です』
「「「っ!!」」」
その場にいた新選組の一同が息を呑むのが分かった。つまりそれは彼女の考えが事実であったことの証明であった。
「そんなに怒らないでよ。今のは冗談だから」
「冗談に聞こえる冗談を言え」
「お願いです!私も名前も何も言いませんからっ!!」
「・・・もういい。連れて行け、斎藤」
斎藤と呼ばれた男は俺と千鶴の襟首を掴んで外へと連れ出し、彼は己のために最低を想定しておけと脅し文句だけを言って畳に二人を放り投げた。