出会い (3ページ)
「残念だなぁ。僕一人で始末しちゃうつもりだったのに」
「総司、俺たちは勤めを果たすべく働くまでだ」
名前の目の前で起こる会話はまるで日常会話のようだ。何気ない話のように話している。その二人に気を取られ、名前は自分の後ろにいる気配に気付くのが遅れた。
『千鶴!』
振り向いた先には千鶴に刀を向ける一人の男。長い髪が風に靡いている。
「いいか、逃げるなよ。背を向ければ斬る」
今の体制では助けに行くことができない。名前が助けに行こうとしたら近くにいるこの二人にたちまち抑えられてしまうだろう。自分では敵わない、そう彼女は理解していた。
「おやおや、土方さんが脅かすから気を失っちゃったじゃないですか」
名前は完全に千鶴に気を取られすぎていた。自らに近づく者に気付けていなかった。
『っぐぅ・・・!?』
茶髪の男に不意にお腹を殴られ、名前は意識を失った。その彼女を支えたのは殴った本人だ。
「おっと。この子たちどうするんですか?土方さん」
「屯所へ連れて行く」
「あれー?始末しなくていいんですか??さっきの見られちゃったんですよ?」
「・・・そいつらの処遇は帰ってから決める。斎藤、後処理を頼む」
「御意」
運命の歯車がゆっくりと回り始めた。