”鬼” (42ページ)
幹部たちは夕餉、伊藤のことを話していた。
「気にくわねぇな」
眉間に皺を寄せながら土方が呟く。その声に賛同するかのごとく沖田は無茶なことを言う。沖田も近藤にべったりな伊藤が気に食わないのだ。
「じゃあ土方さんが返品してきてくださいよ。新選組にはいりませんって」
「近藤さんが許可するわけねーだろ」
「もう、役に立たないなぁ。無茶を通すのが鬼副長の仕事でしょうに」
「だったら総司、お前が副長やれ」
「嫌ですよ、そんな、めんどくさい」
皆、伊藤のことは良く思っていなかった。だが、局長の近藤が伊藤に心酔しているため、何も言うことがでずじまいだった。副長である土方も、一番組組長である沖田も。