”鬼” (37ページ)
「よっと」
新選組は人数が多く、洗濯も一苦労だ。すべての洗濯物を干し終わり、一息ついていると平助に千鶴は声をかけられた。
「千鶴ー、俺さ隊士募集のために江戸へ行ってくる」
「そう、なんだ・・・」
寂しい、な。いつも笑顔で明るい平助君。いつだって私を元気付けてくれる人。
「でさ、千鶴たちの家教えてくんね?何か調べてくるよ」
「・・・ありがとう!待ってて、近くの地図を描くから」
寂しそうな顔から千鶴は笑顔になり、部屋に戻って、地図を急いで描いた。
「これで大丈夫だと思う。近くまで行けば、誰かに聞けば分かると思うから」
「おう、分かった!じゃあ、期待しとけよな」
「うんっ!!」
平助は千鶴と別れ、もう一人、いるはずの名前を探す。
「おーい、名前・・・っていないのか」
部屋に行ってもおらず沖田のところかと思ったが、下手に言って沖田に恨まれたくない平助は諦めて江戸へと向かった。