池田屋事件 (25ページ)
皆が行ってから数刻後・・・
「総長、本命は池田屋です」
観察方の山崎が報告しに来た。
「そうですか、どうやら新選組は思っている以上に賭けに弱いらしい」
腕の立つ人たちを連れて行ったとはいえ、たった10人。浪士たちが何人いるかわからないが、人手が明らかに足りていないはず。
「副長たちに知らせてきます」
「お待ちなさい。この子たちを連れて行きなさい」
山南は山崎に命令する。雪村千鶴、そして雪村名前を連れて行くようにと。
「お言葉ですが、伝令なら一人で事足ります」
下手について来られるくらいなら、一人のほうが着実に早いと山崎は考えた。だが・・・
「確実に伝えるには一人より二人、二人より三人です。名前君は池田屋へ直接向かってください。もし突入してしまっているようでしたら君も参加してほしい。君の腕なら問題のないはずです」
『わかりました』
断るに断りきれなくなった山崎は諦めて二人を連れ、夜の町へと消えていった。
「名前君、この道を右に行けば池田屋につくはずだ」
『はい、わかりました』
「君の太刀筋を桝屋で見させてもらった。いいものを持っていると思う。自信を持っていけ」
『はい、千鶴のこと頼みます』
名前は山南の命令どおり、池田屋へ一直線に向かった。千鶴は山崎と一緒に四国屋へ向かっていたのだが・・・
「雪村千鶴君。残念ながらここから君の安全は保障できない。何があってもこの道を走り抜けろ。いいな?行けっ!!」
「はい!!」
屯所へ押しかけるのであろう浪士たちに運悪く遭遇してしまい、囮となった山崎と千鶴は離れた。
場所変わって池田屋前
「会津藩はまだか!?」
「まだ・・・なんとも」
近藤たちは会津藩からの連絡を待っていた。だが何の反応もなくただ時間だけが過ぎていた。
「どうします?これで逃がしてしまっては無様ですよ近藤さん」
「うむ・・・仕方あるまい。皆の者行くぞ!」
池田屋の正面玄関からどうとうと入る。
「御用改めである!!」
池田屋にて斬り合いが始まった。
「うぉおおおおおおおおお!!」
「わざわざ大声で討ち入りを知らせちゃうなんて。近藤さんらしいよね」
「いいんじゃねーの?それが定石ってもんだ」
なんだかんだ笑いながら、沖田は池田屋の仲へと足を踏み入れた。