いつまでも (207ページ)
千鶴達が訪れてから数日。私と総司さんは一緒に日向ぼっこをしていた。ぽかぽか日差しで眠たくなる瞼を開きながら新選組での思い出話など色々話す。
「ねぇ、名前」
『はい、何でしょう』
頭の下には総司さんの腕があって。そこから手を伸ばされて頭をなでられる。
「僕は君が好きだよ」
初めて彼の気持ちを告げられたその言葉。今でも覚えている。
『私も総司さんが好きです。いや・・・』
もうこの気持ちは”好き”だけに留まらない気がする。”好き”よりも大きな愛おしい気持ち、これは・・・
『愛しています。総司さん』
その言葉を告げた途端真っ赤に染まる彼の頬。
「っ、もう敵わないなぁ」
『きゃっ!?』
ぎゅっと抱き寄せられて、私の目の前には総司さんの厚い胸板。トクトクと心臓の音が聞こえる。しばらくその状態で待っていたのだけれど、一向に解放されず不思議に思い顔をあげてみる。
『・・・寝てる』
スヤスヤと安らかな表情で眠っていた。
『愛してます。総司さん』
先ほど告げたその言葉をもう一度告げてみる。
私は彼を置いていく。いくら総司さんの方が先に羅刹となったと謂えど、私は羅刹だけではなく労咳を患っている。ここに住むようになって咳は出ないようになった。けれど治ったわけではない。ただ単に、咳が出ないだけ。病状は少しずつだけれど悪化しているのだろう。どれだけ一緒にいたいと願ってもそれは叶わない。
ごめんなさい、ごめんなさい。あなたを置いていく私を許して。私はいつまでもあなたを待っているから。少しだけ先にいかせてください。
先が短いと分かっているからこそ、今ある時間を大切に過ごしていきたい。総司さんと二人で過ごすこの時間を。
あぁ、眠たい。私も体を総司さんに預けて眠ってしまおう。次に起きたら夕食を作って。いつもどおり過ごしていこう。
私は総司さんに身体を預けたまま眠りについた。