いつまでも (205ページ)
私と名前はきつく抱擁しあう。次にいつ会えるか、会えるなんて保障なんてないのだから。
『元気でね千鶴』
「名前こそ」
顔を上げてお互いの額を当てあう。私も名前も泣きそうになる顔を抑えて笑顔で挨拶を交わす。
「千鶴。そろそろ」
「はい」
土方さんに名を呼ばれ、別れを惜しみながらも名前から離れる。そして何度も振り返りながらも土方さんの下へと駆け寄る。
『千鶴ー、またねー』
手を振りながら、初めて聞くような大声で名前は大きく手を振っている。私も大きく手を振り返して。
「名前こそ、またねー」
さようなら、とは言いたくなかった。たとえ保障などなくともまた会えると思いたかったから。
「行くぞ」
「はい」
そっと伸ばされた手を握り、私と土方さんは帰路についた。