いつまでも (201ページ)
「・・・そろそろ戻ろっか。夕食の準備手伝うよ」
『ありがとう。助かる』
日が傾き始めた頃、千鶴は顔をようやく上げ何事も無かったかのように言った。だから私も何も見なかったことにした。何も気付かないふりしながら二人、来た道を戻って行った。
「お帰り。遅かったね」
『ごめんなさい。今すぐ準備しますから』
あらかじめ言ってもらえていたらきちんと準備していたのに。何も知らなかったからあるものでどうにかするしかない。
「私は何をすればいい?」
『じゃあ、千鶴はご飯炊いてもらえる?』
「分かった」
馴れないところなのにてきぱきと動けるのが千鶴のすごいところだ。私はそんな様子の千鶴を見て安心して調理を始める。山菜の添煮に秋刀魚を焼いて。えーっと、総司さんたちはお酒出した方がいいのかな?
『土方さん、お酒大丈夫?』
「えーっと、あんまり」
土方さんに聞いては怒られそうなので千鶴に聞いてみる。総司さんも余り飲まないし用意するのは少しでいいかな。さっさと簡単に作ったおつまみと共にお酒を卓で大人しく待っている二人に出す。
『どうぞ』
一杯だけは私が酌して。申し訳ないけれど料理が先だ。
『もう少しだけお待ちください』
「ん、分かった」
後は秋刀魚が焼ければ完璧。