いつまでも (200ページ)
「ここが、雪村の故郷?」
『うん』
私と千鶴は雪村の故郷へと移動していた。何があったのかを教えるために。これは悲しませるとしても千鶴にも知らせるべきだと思ったから。
「薫が、私の、家族・・・」
『双子の兄だって言ってた』
そんな彼を殺したのは他でもないこの私。恨まれても仕方の無いことを私はしている。
膝を突いて呆然とする千鶴を私は見つめる。その瞳は上を向いているようだけど焦点が合っていない。
『ごめん。私は千鶴の唯一の家族を・・・』
「謝らないで!」
私は肩を震わせた。大声を出されるなんて思ってもいなかったから驚いたのだ。
「謝らないで。名前は悪くない、から」
その表情は悲しそうで、苦しそうで。私は震える肩を抱き寄せて、顔を私の胸元へと埋めさせた。泣き顔は見せたくないと思うから。嗚咽がときどき漏れる彼女の肩をずっと抱いていた。