いつまでも (199ページ)
キャッキャッと互いの女達が話すのを聞きながら俺達は言葉を交わす。
「・・・ったく、いきなりあんなもん送りやがって。死人から文がきたって驚いたじゃねぇか」
「ははっ、面白いでしょう?でもよく僕からだと分かりましたね」
「あの絵を見たら嫌でもお前だと思うぜ」
一月ほど前。俺の元に一通の名の無き文が届いた。誰からだ?と不審に思いながらも俺は文を開いた。だがそこには地図が載っているだけで。右端に昔良く見た絵が描かれていた。
「これは・・・」
その絵は男が馬に乗っている絵で何度も何度も屯所で見た。懐かしいものだ。
「どういう、ことだ?」
あいつはあのとき死んだはずだ。なのにどうして今頃文が届く?俺の中で疑問が渦巻く。
「どうかしましたか?歳三さん」
深刻な面持ちで文を握る俺を不思議そうに千鶴が見つめる。―――あぁ、もしかしたら。あいつら本当は生きていて。あわせてやりてぇんじゃねぇかって思った。だから返事を書いたんだ。俺も同じように名は書かずに。あいつなら俺の文字で分かるはずだと信じて。
そうして再会を果たした。千鶴や名前と違って、俺達の間に感動なんてねぇけれど。
「それよりお前ら、体調は大丈夫なのか?」
二人とも羅刹で、しかも片方は労咳も患っている。そんな二人がこんなにも平和に穏やかに暮らしているだなんて信じられなかった。
「あぁ、ここに流れる川の水は発作に効くんですよ。労咳にも効くらしく咳き込む姿は減りました」