いつまでも  (198ページ)

・・・これは夢?本物なの?だって目の前に千鶴がいる。もう会えないと思っていたのに。



『っ、千鶴・・・!!』

「名前っ!!」



私達はきつく抱き合った。お互いを確かめ合うように。再会の興奮が落ち着いた頃、家の中へと招待する。訪ねてきたのは千鶴だけでなく、土方さんも一緒だ。・・・様子を見る限り、土方さんと総司さんの企みなのだろう。



『どうぞ』



お茶を出す。そういえば土方さんにはあまり茶を出したこと無かったな。大抵は千鶴がお茶を先に出していたから。



「ありがとな」

「ありがとう」



ズズ…と茶を喉に通してから本題へと入る。



「ねぇ、どうして名前たちは・・・」



生きているの?と言いたそうな瞳を千鶴はしている。それもそうだろう。私と総司さんはあの峠で死んだことになっているはずだから。



『ごめんね。本当は死んでいなかったんだ』



騙していてごめん。



「僕らはやらないといけないことがあったからね。死んだことにしたほうが都合が良かったんだ」

「・・・ったく、そういうことかよ」



土方さんは嫌味を言うが、その顔は嬉しそうだ。未だあまり理解していない千鶴に土方は説明する。



「あー、だからだな・・・」



しばらく四人で話していたが男達は自分達だけの話があるからと庭口のほうへと行ってしまった。よって自然と私と千鶴の二人きりだ。



『・・・千鶴、土方さんとはどうなの?』



気になっていた。二人で尋ねてきたことに。千鶴も私同様、もう男装はやめていて。綺麗な着物を着ており、どこからどう見ても女性だ。



「え、えーっと・・・」



顔を真っ赤に染めて頬をぽりぽりと掻いている。恥ずかしいのだろう。その辺は全く変わっていない。



「っ、そんなことより!名前こそ沖田さんとはどうなの?」

『普通、かな』



一つ気掛かりなことはあるのだけれど。それは私自身の問題だ。



「いつから沖田さんのことを?」

『んー、どうだろう?でも・・・』

「でも?」



私は先輩に言われたように小さな弱い子達を守ってきた。千鶴と出会ってからは千鶴をずっと守ってきた。だけど―――誰も私を守ってくれなかった。そんな中で新選組と出会って。初めは私をも守ろうとする彼らに戸惑った。けれどもその暖かさに触れていく度に心が解けていくようだった。



『それに気付いてから、かな』

「え?」

『ふふっ、秘密』

「名前・・・」



驚きの表情を千鶴は浮かべる。なぜならこんなこと初めてだからだ。千鶴が問えば何ても答えていたし、千鶴に対して秘密など言った事が名前はなかったのだ。



「そんな顔もできるようになったんだね。沖田さんのおかげかな?」

『へっ?』

「ふふっ、秘密」



それはまるで名前がしたように。先程のお返しと言わんばかりに名前の真似を千鶴はした。



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