決着  (193ページ)

僕の気持ちを名前ちゃんに告げる。正直不安で仕方なかった。彼女も僕と同じ気持ちなんて保証はどこにもなかったから。心臓がどくどく言うのを感じる。だけどそれは発作なんかじゃなくて。早く早く何か言って・・・!心臓が潰れそうだ。そんな僕の心とは裏腹に一言も話さない名前ちゃん。僕が言った途端顔を下に向けてしまい表情は見え。風が僕らの頬を撫でる。夜風に当たるとまだ寒いと感じるほどだ。



『・・・とう、に』

「え?」

『本当に、私なんかでいいんですか?』



僕の目を見た彼女の顔に不安が見えている。今にも泣きそうな表情だ。



「君じゃなきゃ駄目なんだよ」



僕は名前ちゃんを抱き寄せて安心させるように丁寧に扱う。



『・・・私も沖田さんが好きです』



微かに、でも確かに僕の耳にはそう聞こえた。腕に力が入る。痛いくらいにその存在を確かめて。僕の胸元から顔を上げる彼女の頬は赤く染まっていた。はじめて見る”普通の女子の顔”という感じだった。そして僕達はどちらからともなく口付けを交わした。


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