決着  (192ページ)



「・・・ん」



ぱちっと僕は眠りから覚めた。そして驚いた。隣に名前ちゃんがいない。



「名前ちゃん!?」



まさか。まさか。僕は真っ青になり、あたりを見渡すけれど誰の気配もない。風が草を撫でるだけだ。



「・・・うそ、でしょ」



膝をがくりと落とす。力がはいらない。嘘だと思いたくって、でも姿が見えなくて。



「名前ちゃん・・・」

『呼びましたか?』

「え・・・」



最初、空耳かと思った。下に向けていた視線を上げる。自分眼を疑った。だって名前ちゃんが目の前にいるから。



『・・・どうかしました?』



頭をかしげて膝をついている僕の目線にあわせる。僕はつい手を伸ばして彼女を抱きしめた。



『沖田さん?』

「・・・焦った。君がいなくなっちゃったんじゃないかと思って」

『ごめんなさい。発作が起こって・・・』



薫の言葉を聞いて川へ水を飲みに行ってみた、と。すると本当に発作が治ったらしい。



「本当に?」

『はい』



僕が寝ていたので起こすのを悪いと思い、一人で行ったらしい。悪いことしちゃったな。

その日はずっと石にもたれながら手を繋いでいた。星が綺麗に輝き始めた頃、沖田はぽつりと話し始めた。



「・・・名前ちゃんはこれからどうするの?」



正直、名前はこれからのことなんて考えていなかった。この戦いで果てるつもりだったのだ。言葉に詰まってしまう。



『っ、あの、その・・・』

「待って。いいよ、その前に伝えたい言葉があるんだ」



だけどもそれ以上言わないようにと私の口元で人差し指を沖田さんは立てる。

こくんと頷いて次の言葉を待つ。期待と不安を胸に抱きながら。



「―――僕は、君が好きだよ」


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