決着  (189ページ)



「っ、く!」

『ははは、はは・・・』



狂ったように攻撃を仕掛けてくる名前。自らが傷つくのも気にせずに斬りかかる。



『ははっ・・・ぐぅっ』



ぐぐもった声を出したと思えば、彼女は背を子供に刺されている。だがその刀を意図も簡単に引き抜いて逆に刺しかえした。



「ちぃっ!」



このままでは敵わない。本能で感じ取ったのか、先輩は名前から距離をとる。



「何してるんだ。たった二人だろう?さっさと片付けろ!!」

「・・・我侭言ってくれるよ、本当」



たった二人に俺達は苦戦を強いられているのだから。人数では明らかに勝っているというのに。強さの桁が違う。元から名前は強かったが、さらに強くなり、名前と一緒に来た沖田も新選組一、二を争うほどの剣術の持ち主だ。昨日、今日初めて刀を握ったような者に負けるはずがない。



『ははははっ、は・・・あ、ぅ』



しばらく狂ったように嗤っていたが、苦しみだしたと同時に名前の白い髪が元の色へと戻る。羅刹化が解けたのだ。それは同時に血を求める衝動が収まったということでもある。が、今解けてしまっては困る。生身の状態では羅刹に押し負ける。労咳で苦しんでいる今の名前の状態では。



『げぼっ、ごほごほっ・・・』



今こそとばかりに叢から子供達が飛び出して一斉に名前へ向かう。だがその気配を感じ取った名前は綺麗に避けながら斬りかかる。



『先輩、最後の勝負、です、よ』



ゼェゼェと苦しそうに呼吸しながら、名前は一本の刀を地面に差し、それを支えに立つ。限界が近かった。これ以上争っても負けしかない、そう名前は確信していながらも最後の力を振り絞っていた。

その場に子供はもういない。もう斬り殺されてしまった。他でもない沖田と名前によって。最早二人を邪魔する者はいないのだ。先輩と名前は互いに刀を向けあう。一瞬の隙が命取りとなる。一撃で終わるだろう。名前はひゅうと風が吹き終える前に地面を蹴り、先輩へと斬りかかる。



「っ!」



先輩はその攻撃を避けきれずにもろに食らう。その攻撃により、先輩は立てなくなり地面へ転がった。



『先輩、色々教えてくださって、ありがとう、ございました』



名前は刀を振り上げ、先輩へと突き刺した。



「・・・それで、いいんだ。ありが、と、う」



微かな、消え去ってしまいそうな音声で先輩は最期にお礼を言った。


|

[Back][Top]


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -