決着 (188ページ)
悲鳴にも似た声を聞き、名前ちゃんの方を見る。彼女は横腹を刀で刺されており、血がかなり出てしまっていた。そしてその瞳は―――羅刹の、化け物の瞳だった。
「名前ちゃん!!」
今すぐ名前ちゃんの元に行きたい。けれどもそれを薫は阻むように僕に襲い掛かってくる。
「残念。変若水じゃ労咳は治らない。あいつはかなり無茶してるようだし、もっても一年って所かな。放って置いても勝手に死ぬさ」
「うるさいなぁっ!」
もう何度か聞いたその言葉。彼女はもう長くは無い。彼女の労咳は治っていない。僕だって知っている。僕のせいだって知っている。それでも。それでも。彼女と、名前ちゃんと生きていきたい。そう願うのはいけないこと?
僕は薫の攻撃を交わし、得意な三段突きを御見舞する。一つ目は避けられたけれども二つ目、三つ目は綺麗に決まり、薫は血を吐血する。だけど腹の傷は僕たち同様にすぐさま消えてゆく。
「本当面倒だなぁ・・・!」
首を落とすか、心臓を突かないと死なないなんて。まぁ、僕が負けるわけないけれど。いくら陽の光に苦しめられても薫に負けるほど僕は弱くない。叢から出てくる子供達を気にしながら僕は薫へ留めとでもいうような攻撃を仕掛けた。