決着 (186ページ)
薫と戦っている時に叢から出てきた子供達。その内の一人が薫と刀を交えている僕に斬りかかる。
ヒュンッ、グサッ
それを素早く避け、足元を斬る。これでこの子は立てない。薫へと体を向けなおす、のだけれど。
「なっ!?」
傷口がすぐさま塞がっていく。まるで僕と同じように。
「驚いた?まさか羅刹になったのが俺達だけだとでも?」
歪んだ笑みを浮かべ薫は告げる。
「まさかこの子達全員飲ませたの?」
「さぁ?斬ってみれば分かるんじゃないか?」
無茶苦茶だ。こんな小さな子供にまで、僕が屯所で遊んでいたような子供にまで変若水を飲ませるなんて。
「最低だね君」
「何とでも言えばいいさ。どうせお前達はここで、雪村の故郷で殺されるんだから」
陽の光がどんどんと僕の体に降り注ぐ。それはまるで毒のように僕を苦しめる。
襲い掛かってくる子たちを相手しながら薫と対峙するのは決して楽ではなくて。僕の体に無数もの傷を作っては消えていく。それは僕が化け物だという証だ。名前ちゃんの方をちらっと盗み見ると服がところどころ破れてしまっており、彼女も無数の傷を作っては消し去ってきたというのが見て取れた。
「君もしつこいよね」
「お前もな沖田。こんな陽の下で頑張るじゃないか。相当辛いはずだ」
「だったら早く君を斬るしかないね」
ヒュッンヒュッン、キン―――さらに激しさを増して僕と薫は斬り合う。負けてしまえば待つのは死のみ、だ。僕は、こんなところでくたばれない。名前ちゃんとこれからを過ごすんだ。きちんと言葉を伝えてない。
僕は何があっても諦めない。