池田屋事件 (16ページ)
「ねぇ、名前ちゃん。今日から新八さんの隣なんかじゃなく、僕の隣においでよ」
食事時に沖田が唐突に発した。その言葉に皆は驚くが、言われた本人はたいして驚いた様子を見せず了承する。
「「はっ?」」
『・・・わかりました。じゃあ、あっちに行ってくるね、千鶴』
名前は膳を持ち、斉藤とは逆側の沖田の隣へ座る。
「名前”ちゃん”?」
「ちょ、どういうことだよ総司!」
平助と永倉は沖田の言った”ちゃん”付けに違和感を持ったらしい。
「そういえば、さっきも抱き合っていたな」
「「「はぁ!?」」」
斉藤の爆弾発言によって、ざわつきは大きくなる。
「名前、まさかっ・・・」
『違うから、千鶴』
なにやら良からぬ勘違いをされていると思った名前はすぐに否定をする。
「おいおい、そんな皆して質問してもできねーだろーよ。ま、俺も興味あるけどな」
「なんでもないよ?可愛いから”君”から”ちゃん”に変えただけだし。僕の玩具は近くにおいて置かないと、ね?」
笑顔だが軽く殺気を含んだ眼で睨まれ、幹部達は息を呑んだ。