君が故 (174ページ)
浪士たちが移動し始めたので沖田達も後をつける。もちろん二人とも気配を消して。そして一本道へとたどり着いた。このまままっすぐ行けば土方たちのいる宿場へ着く。名前と沖田は目を合わせ合図しあう。”行くよ”その合図を皮切りに一緒に飛び出した。
「何だ貴様等、そこをどけ!」
真っ白に髪を染める沖田と名前。そして血を流して倒れる二人に襲い掛かった浪士達。
「貴様等何者だ!?」
「新選組一番組組長、沖田総司!!」
『新選組一番組組長小姓、雪村名前!!』
瞳をまるで血の色のような赤に染めて二人は有り得ないような強さで浪士達を倒していく。
「な、なんだこいつら・・・」
「化けもんじゃねぇか!」
桁外れに二人は強かった。浪士達は数と武器では優勢なものの二人に敵わなかった。
『ぐっ・・・』
そんな時パンッと鈍い音が響き、名前の左肩が熱くなる。撃たれたのだ。銃で。つい左に持っていた刀を落とすが、右で浪士を倒していく。だがパンパンと何発も鈍い音が響き、名前と沖田の体に傷跡を付けていく。そして、ついに二人は立っていられなくなる。
「とどめを刺してやれ!」
うおぉぉぉぉと浪士達が一斉に向かってきた。端から見れば絶体絶命の危機であろう。だが二人はもはや人間ではない。羅刹という化け物だ。座り込んでいるうちに傷を修復し、浪士を一掃する。
『ハァハァハァ・・・』
「ハァハァハァ・・・」
二人だけの息遣いだけが辺りに響く。沖田と名前の周りには浪士達の亡骸がこれでもかというほどに散らかっていた。