君が故 (169ページ)
土方たちと別れた名前は千鶴の元へと向かっていた。無事だけでも伝えようと思ったのだ。それから、それから・・・
「名前っ!?」
千鶴は名前の姿を見つけた途端走り込んで来た。飛びついてきた千鶴をしっかりと抱き支えながら名前は謝罪を述べる。
『ごめん、心配かけた。俺は無事だから』
見知った顔がいなくなる。それはかなりの悲しみを伴う。だから自分の無事だけでも伝えたかった。
そして彼女は千鶴から自分が抜けてからの新選組の動向を聞いていた。その途中で聞こえてきた激しい怒鳴り声。
「何で近藤さんを見殺しにしたんだ!何とか言えよ!!」
めったに聞かない、いや、初めて聞くんじゃないかというくらいの声量で沖田の叫び声が聞こえてきた。名前と千鶴は顔を合わせた後、急いで声の元へと向かった。