君が故 (163ページ)
苦しい。陽は少し前に沈んだはずなのに頭が痛い、気分が悪い。だけど走り続けなければいけない。足を止めるわけにはいかない。これ以上遅れをとる訳にはいかない。沖田さんのためにも。
名前は必死に足を動かす。だが前を走っていた沖田が急に足を止めた。勢い余って名前は沖田の背にぶつかってしまう。
『沖田さん・・・?』
かなりの速さを出してずっと走っていた俺名前達は肩で息をしている。気付いたら名前は沖田に抱きしめられていた。
「ごめん、今は君を抱きしめていたい」
肩に頭を沈められて、頬にかかる髪がくすぐったい。そっと腕を背中へと回し抱きしめた。少しでも安心してくれるように。
やっとの思いで手に入れた情報は今の俺達には残酷すぎた―――