池田屋事件  (14ページ)

「ねぇ、どうして山南さんが怪我するってわかったの?」



夜、皆がもうすぐ寝静まるであろう頃、沖田は名前を問い詰めていた。なぜ山南さんが怪我することを予知できたのか。そのことが気になったからだ。普通の人間ではありえない、ことだから。

名前は沖田の問いの本質に気付いていながらも何となくはぐらかす。





『何となく、としか・・・』

「何となくなんていうのじゃなくて僕はもっと明確な理由が聞きたいんだけどな」





”鬼の力で、です。”

なんて言えるはずない。鬼の血が流れている俺には怪我するであろう場所に予兆が見えるのだ。黒くもやっとした霧みたいなものが。ただそれはあやふやで。怪我の度合いなどまでは分からない。





『ごめんなさい、何となくと以外言いようがありません』

「ふ〜ん・・・」





沖田は納得していないようだったが、それ以上追求されることはなかった。

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