池田屋事件  (12ページ)

そして、山南、土方は大阪へ旅立った。



『沖田さん、起きてください・・・・・・・・・!?』

「おはよう、名前君」

『いい加減、悪戯するのやめてもらえませんか?』

「ん〜、君の仏頂面以外の顔を見せてくれたらいいよ」

『ならいいです』

「ちぇっ」



いつものこと。朝に起こしにくるようにと言われ、名前は毎朝起こしにきているのだが・・・毎日毎日何かしらの悪戯をされる。



『・・・沖田さん』

「ん〜?」

『いつも天井から気配がして気になるのですが』

「気付いてたの?」

『はい、俺達が捕まったときからいましたよね?』



沖田は驚いた。平助よりも気配には敏感なのかも、と。普通の生活をしていればそんなものは身につかない。僕らみたいな仕事をしていると背中から斬りかかられることもあるから、それなりに敏感になるのだけど。・・・それより監視対象に気づかれる監察方ってどうなの?意味ないんじゃない?なんて言ったら山崎君落込んじゃうかも。いや、もう言葉を聞いて落ち込んでるかもしれない。追い打ちをかけにいってもいいけれど、今はこの子のほうが面白いんだよね。

千鶴と名前は監視付きでならば互いの部屋に行っても良いということになった。さすがに一人で部屋にいては気持ちが落ち込んでしまう。土方の采配である。



「名前は大変じゃない?毎日沖田さんの相手してるんだよね?」

『そうだけど、もう慣れた、かな』

「すごいなぁ。私、沖田さんは苦手で・・・」

『まぁ、仕方ないよ』



斬るだの殺すだの物騒なことを言っているのだから自業自得だ。俺は別に千鶴さえ嫌われなければどうでもいいし。



「この間なんて蛙を部屋に入れられて!あれは怖かったな」

『俺もあった。背中に蛙を入れられた』

「えぇっ!?こ、怖くなかったの?」

『別に?どこにいたんですか??って聞いたら変な顔はされたけど』



この会話で見て取れるように基本的にこの二人の反応は真反対なのだ。

千鶴は素直に泣き出したり、叫んだりするのに対し名前は虫を普通に掴み、どこにいたんですか?これは何という物ですか?と言って、探しにいく始末。
だからこそ総司にとっては面白いのだ。千鶴は予想通りの反応、名前は予想外反応をするのだから。

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