君が故 (140ページ)
ぶるりと外に出ていた名前は寒さに震えた。今日は体調が良いみたいだ。布団から出、外に出るくらいには具合が良かった。
「冷えるから中にいなよ」
『はい、ありがとうございます沖田さん』
ふわりと上着をかけてもらった。
「大阪の冬は寒いね。京も寒かったけど」
名前の肩を持ち沖田は部屋の中へと促す。それに従い、彼女は大人しく部屋の中へ入る。沖田もそのすぐ後に続いた。
『沖田さん、もう大丈夫なのですか』
「うん。もうすっかり良くなったよ。今から参加しに行ってもいいくらい」
部屋の中で温まりながら話していた。彼のキズは綺麗に治っていた。
『参加しに行きますか?』
「・・・ううん、近藤さんの側にいたいし」
そうですか、と呟き静寂が部屋を覆った。パチパチと火鉢の音だけが響く。しばらくすると沖田の肩に重みがかかった。
「名前ちゃん?寝ちゃった?」
返事の変わりに聞こえてくるのは安らかな寝息。咳も止まっているようで安心した沖田はそのままそっと布団の上へと名前を寝かせ、自室へと戻って行った。