力の代償 (120ページ)
一月後、新選組は伏見奉行所に入り戦闘に備えるようになった。
そして久しぶりに千鶴と名前は平助と話した。羅刹となった平助と初めての対面だった。
「平助君。もういいの?」
「あぁ。ただ今は黄昏が夜明けに月が太陽に見えるかな」
『ごめんなさい。俺の力が足りなかったから』
「気にするな。俺が弱かったのがいけないんだよ」
沖田は大分弱ってしまい、寝ていることが多くなった。名前も体調が優れないことが増え、ただでさえなかった食欲に輪をかけてご飯の食べる量が減っていった。平助は普段通りみたいだが、昼と夜、逆転生活を送っている。陽を拝むことのできない生活だ。
『沖田さんの様子を見てくるね』
なるべく千鶴には沖田と一緒にいないようにさせた。そして、自分にも。労咳を移すわけにはいかなかったから。