力の代償 (111ページ)
「ごほごほっげほ」
あれから平助君と名前ちゃんは目覚めない。僕は毎日名前ちゃんを千鶴ちゃんは毎日平助君を看病している。
・・・名前ちゃんが倒れてから、体調が崩れ血を吐くことが増えてきた。多分彼女の鬼の力というものが自らの治療でいっぱいいっぱいになってしまっているからだろう。だから彼女も目覚めない。そう僕は推理していた。
「名前、まだ目覚めませんか?」
「千鶴ちゃん。そう、だね。そっちはどう?」
「相変わらず魘されています。あまり、陽に当たらなければ静かに眠っているみたいで・・・」
平助は羅刹の道を選んだ。どうしてか、なんて聞くまでもない。僕があの立場なら迷わず飲んでるから。近藤さんの刀になると決めたんだ。こんな所で立ち止まってなんていられない。
「そっか・・・いつになったら目覚めるんだろうね」