力の代償  (107ページ)

「こほ、ごほごほっ・・・君はやっぱり普通の町娘じゃななかったんだ、けほ」



名前と風間が戦う少し前、沖田の部屋に南雲薫が潜入していた。ただの町娘が、いくら隊士がほとんどいないからってこんな所にやってくるはずがない。初めて会ったときから違和感があった。



「綱道は私の父です。そして千鶴は私の双子の妹。千鶴は綱道さんに私は土佐の南雲家に引き取られて育ったのです」

「じゃあ君も鬼なんだね?」

「えぇ」



そして薫は怪しく光る赤い水の入った瓶を懐から取り出した。



「今の貴方に戦えますか?」

「僕はまだ、戦える」



刀を持って薫に斬りかかるがひょい、と避けられてしまう。沖田の病気はかなりの早さで進行しているのだ。刀を持ち、鞘から抜くことが出来ただけでもすごいことなのだが沖田は自らの力の衰えに衝撃を受けていた。



「待て!げほごほっ」



去って行く薫を追いかけようと歩みだすが、沖田はすぐ咳き込んでしまい薫を見失ってしまった。そして先ほどまで薫と話していて気付かなかったが近くで刀がぶつかり合う音が聞こえてきた。



「誰?」



気になった沖田は刀を持って、壁伝いにゆっくりと歩いていった。

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