第四衝突 【94ページ】
秋も深まって、高校生の大イベント文化祭も無事に終了した。来年は大忙しだなーなんて他人事のように思う。力のいれようが違うから。3年生の顔や表情を見て思った。
『はぁー、寒くなってきたなぁ』
もうすぐ冬になるんだな。
「あ。すみません名前さん。買い物してきえくれませんか?」
『いいですよ。何買って来ればいいですか?』
「卵とお醤油をお願いします」
「お姉ちゃん、僕もついていっていい?」
『分かりました。いいよ、一緒に行こうか』
「弥のこと、買い物とお願いしますね」
『はーい』
弥君と手をつないで商店街を歩く。その先にあるスーパーで買うと今日は安くなる日だから。
『んー、お醤油ってどこかな?分かる?弥君』
「うん!こっちだよ!」
あまり手馴れていないスーパーでは物がどこにあるのかわからない。こういうのは知っている人に聞くのが一番だよね。弥君はよく右京兄さんや雅臣兄さんと一緒に来ているのを知っていたから聞いてみたけれど、知っていてくれて助かった。だけど彼はお菓子コーナーで立ち止まる。
『弥君?』
良く見るとお菓子が手の中にあった。お菓子とおまけのカードが入っているらしい。
『ほしいの?それ』
そう聞いてみても首を横に振る。けれども離さない様子をみてやっぱりほしいんだろうなって思う。右京兄さんや雅臣兄さんだったら我慢させるんだろうな。
『………んー、右京兄さんたちに秘密にできる?』
「うん!!」
ごめんなさい右京兄さん。私はやっぱり弥君には弱いようです。
仲良く弥君と荷物を持って帰る。袋に入ったものを半分ずつだ。っと言っても、私がほとんど持ってるけど。僕も持つーっと聞いてくれなかった。
「ありがとうございます」
『いえ』
「僕も手伝ったー」
「弥もありがとうございます」
『弥君、ありがとね』
「お姉ちゃん、お菓子ありが『弥君、しーっ』
弥君が可愛すぎてお菓子買っちゃったんだよね。そのお礼を言おうとしてくれたんだと思うけれど、やっぱり右京兄さんにばれたら…ねぇ?気づかれたと思うけれど聞こえていないフリをしてくれた。
『あれ、梓兄さん』
部屋に戻ろうとしたところ、ドアの前に梓兄さんが立っていた。丁度インターフォンを押すところだったらしい。
「ううん、たいした用じゃないんだけど」
そう言って差し出される手。その上には紙包みされたものがある。
「これ、よければ使って」
『ありがとうございます。開けても?』
「うん」
中を開けてみるとアルバムが入っていた。デザインも私好みな感じですごく気に入ってテンションが上がる。
『ありがとうございます!』
「喜んでもらえたなら良かった。じゃあ、おやすみ」
ぽんぽんと頭を軽く叩いていく梓兄さん。なんだか梓兄さんと話しているとほっとするんだよね。本当のお兄ちゃんってこんな感じなのかな。
『寝よ…』
また時間のある時にでも写真貼っていこう。。。梓兄さん、本当にありがとう。
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