第四衝突 【93ページ】
『お待たせ。はい、絵麻のアルバム。それと…これ』
絵麻に渡していなかった写真。それは赤子が2人とその二人を抱いている男性と女性の写真だった。
『私たちの唯一の家族写真、だって』
「じゃ、じゃあ、これが本当のパパとママなの?」
コクンと頷く。しまった。タイミング間違えたかな…。
「…優しそうな人たちだね」
『うん』
「んじゃー、さっそく絵麻のアルバム見ようぜ★」
こういうときは空気読んでくれるんだよね、椿兄さん。今日ばかりは助かったって思った。ありがと、椿兄さん。
「この絵麻ちょーかーいー★まじかーいー!」
「ほんとだ、可愛い」
「お姉ちゃん可愛いねー」
「恥ずかしいです…」
小さい頃の絵麻、本当に天使みたいだったもんなー。今もとっても可愛いけど。
「あれ、名前のアルバムはないの?」
絵麻のアルバムを見終えた梓兄さんが質問してくる。やっぱり突っ込まれちゃうか。
『基本私と絵麻の二人だったんですよ?私まで写ったら誰が撮るんですか?最低限のものには絵麻と一緒に写っていますけどね』
入学式や卒業式の写真には私も入っている。けれどそれ以外の、運動会や音楽会などの行事ごとのものは絵麻だけだ。
「じゃあさお兄様と一緒に撮ろー★はいチーズ★」
パシャと肩を抱かれて写真を撮られていた。
『あ、ちょっと笑ってなかった!もう一回!!』
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