第四衝突 【92ページ】
結婚式から数日。私はデジカメを見ていた。
「名前ちゃん、それは?」
『この前とった写真を見てるんです。それ以外にも海のときやいろいろ撮ってます』
「さすが女の子は気が利くね」
『せっかくですのでプリントして皆さんにお渡ししようかと』
「せっかくだからこの部屋に飾る?」
『いいんですか?』
それは素敵な提案だった。さすが雅臣兄さん。気が利くな。
「もちろんだよ」
ごそごそと写真フレームを出してくれる時、一緒にアルバムが出てきた。
『これ見てもいいですか?』
「あぁ、うん。いいよ」
丁度タイミングよくリビングへやってきた絵麻と弥君、梓兄さんと椿兄さんと共にアルバムを覗き込む。
『うわー、可愛い』
「本当、可愛らしいですね」
小さな頃って誰しも可愛いよね。雅臣兄さんも椿兄さんも梓兄さんも。とっても可愛らしい。
『これは?アルバムに挟まっていましたけど』
まるでピントが合っておらず、手ブレしてしまっている写真を見つけた。写っているのは…梓兄さん?
「これは椿が撮ったでしょ?ほらブレてるから別にしておいたんだ」
「捨てるに捨てられなかったんだね」
「ちょっとー人が取った写真ごみ扱いしないでくれる!?」
一枚一枚に移る兄弟達はとても楽しそうで、賑やかそうで嬉しそうだった。そんな写真を見て絵麻が呟いた。
「いいなぁ。こういう楽しい写真が詰まったものって」
『あるよ。絵麻のアルバムも』
「え?」
『私が撮ったものだけどね。ちょっと待ってて』
部屋に絵麻のアルバムはあった。そしてハラリと落ちてきた写真。
『これも絵麻に渡さないとね』
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