第四衝突 【88ページ】
リビングでテレビを見ていると、久しぶりに風斗が帰ってきた。
『お帰り、風斗』
「ただいまー。ねぇ、姉さんお腹すいた。何か作ってよ」
『えー…』
「仕事で疲れた僕を労ってもくれないの?」
『仕方ないなぁ。そんな難しいのは作れないからね』
右京兄さんや絵麻ほど上手くはないのだけれど、ぱぱっと作れる夜食を風斗のために用意した。
『はい』
「…ほんとに作ってくれたんだ」
『お仕事を頑張っている弟を労ってねー』
初めは怪しげな表情を浮かべていたけれど、小さく一口パクッと食べて、そしてバクバクと食べだした。
『美味しい?』
「ま、まずくはないんじゃない?」
やっぱり素直じゃないなぁ。きちんと食べてくれるあたり嬉しい。
「ごちそうさま。また作ってよね」
『へ………あ、うん』
お皿をきちんと台所に運んでくれるあたり風斗は実はいい子なのかもしれない。口が素直じゃないだけで。さてと、洗い物しますか。
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