第四衝突 【84ページ】


『イベントチケット?』



「そー★今度俺達がメインキャラをやるゲームのイベントがあるんだーだから観に来てほしいなって」




ということで今、椿兄さんと梓兄さんのイベントへ来ている。家を出る直前に琉生兄さんに会ったため髪は綺麗に整っていて、服は以前に椿兄に買ってもらったスカートをメインに以前みたく絵麻にコーディネートしてもらった。

会場に着けばすごい熱気で。周りを見渡しても可愛く着飾った女の子しかいない。



『すごっ…人気あるんだ、あの二人』



あまり声優のことは知らないけれどこれだけのファンが集まるほどには人気があるのだろう。きゃーきゃーと甲高い声で応援する彼女達はあの二人に夢中で。改めてすごいお兄ちゃん達だなぁって思う。熱狂するイベントも終わり、帰ろうとしていたところにメールが来ていた。内容は楽屋に来ないか、というもの。やめようかなと思ったけれど、梓兄さんもいるなら椿兄さんと二人きりにはならないし、大丈夫だろうという判断だ。今まで通りとはいえ、椿兄さんと二人きりになるのは避けていた。反応に困ってしまうし。



『椿兄さん、梓兄さん。名前です』



一言だけ断りを入れて楽屋へ踏み込んだ。椿兄さんはどこでも椿兄さんで。いつでもどこでも抱きついてこようとする。



「俺ちょーかっこよかったっしょ?」

『はいはい。かっこよかったです。こういうイベント初めてですけど楽しかったです。絵麻も来ればよかったのになー。このゲームはいつ発売ですか?』

「んー、また聞いとくよー」



今日はカッコよかったから多少は抱きつくのを許していたけれど、いい加減暑苦しい…。



『椿兄さん。離して下さい』

「えー、もうちょっと★」

「椿」



梓兄さんのおかげで椿兄さんは大人しく離れてくれた。



『お酒は飲まないんですね』

「あー、このあとも午後の部があるし、重要なオーディションがあるんだ★」

『オーディション?』

「うん★まだタイトルは言えないけど、俺達が声優を目指すきっかけとなったアニメの主役のオーディションがあるんだ★」

「俺達っていうか椿でしょ」



確かオーディションでキャストを制作スタッフが決めるんだよね。だったらすごく重要じゃん。どうりでお酒を飲まないはずだ。



「根拠はないけど、自信はあるんだ★」

『梓兄さんは受けないのですか?』

「僕は主役のライバルを受けるよ」



椿兄さんと梓兄さんの対決かぁ。観てみたいかも。



「決まったら真っ先に君に知らせるから楽しみにしてて★」
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