第三衝突 【73ページ】
二泊三日の家族旅行もあっという間に終わって、いつも通りの生活が始まる。って言っても私は部活が一週間休みなので昼までずーっと眠っているんだけど。そんな私の安眠を妨げる誰かが訪ねてくる。
「名前ー、そろそろ起きてお兄様と遊ぼー!!」
ピンポンピンポンピンポンと近所迷惑じゃないかというくらい連打されるインターフォン。それにドアを叩かれて眠れない。
『…椿兄さん、うるさい』
こんなことする人なんて一人に決まってる。眠気によって回らない頭を動かしながらドアの前まで移動する。
「名前、遊びに行こうぜ!」
『…まだ寝る』
「もう寝すぎだってば!」
『うるさい』
「へっ?」
機嫌が悪かったからだと思う。眠たかったからだと思う。寝るのを邪魔されたからだと思う。私は椿兄さんの腕を掴んで、気がついたら背負い投げをしていた。
「いってー!!」
『ん…椿兄さん、うるさい』
眠たい。早くベッド戻ろう。くるりと後ろを向いた時、絵麻がチラリと見えた。
『絵麻、昼食の時に起こして…』
バタンとドアを閉じて、私はベッドへと戻る。そしてパタンとそのまま倒れた。
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