第三衝突 【70ページ】

負けるのが嫌いな私はいつでも全力疾走。トーナメントとなった闘いで私たちのチームは今、梓兄さんのチームと戦っている。



『侑介っ』



上手ではないと思うけれど。ボールをあげればそこに向かってジャンプしてアタックしてくれる侑介。逆もしかりだ。雅臣兄さんはしっかりとボールを拾ってくれる。



「名前ちゃん!!」

『はいっ』



跳んで思い切りボールを叩き込めば相手側のコートに決まる。要兄さんや梓兄さん、琉生兄さんに身長で敵うはずないから私がアタックするときは速攻でないと負けてしまう。



「お姉ちゃん、お疲れ」

『ありがとう絵麻。次頑張って』



ふー…あっつい。今の戦いを見てみると、やっぱり椿兄さんのチームが勝っていた。絵麻の運動神経、ある意味すごいもんね。びっくりするくらい。



「わわっ!?」



ずざーっという音と共に絵麻がこける。あーあー。どうして何もないところでこけちゃうかな。砂浜だから動きにくいっていうのは分かるけど。結局、絵麻のチームは負け、優勝決定戦は私達のチームと椿兄さんのチームとなった。

コートに出ると、陽の光が暑くて。パーカーを脱ぎ捨てた。



「「っ…」」



息を飲んだのは誰だったか。後ろを見てみれば侑介が真っ赤な顔をしている。あ。いいこと思いついたかも。ちょっとずるいかもしれないけれど、優勝したチームには何かいいことがあるみたいだし。スタスタとネット間際にまで近づいて。いつもより甲高い声を意識しながら言う。



『椿お兄ちゃん、私、勝ちたいな』



瞬間、真っ赤になって湯気でも出そうになる椿兄さんと昴兄さん。いや椿兄さんは分かるんだけど、昴兄さんまでなぜに…



『よし、やろっか。侑介、雅臣兄さん』

「う、うん」

「いいのか?これ?」

『いーの、いーの。ルール上問題はないんだから』



セーフでしょ?って審判をしている要兄さんを見てみるとひゅ〜っと口笛を吹いていた。



「名前ちゃん、それ俺にもやってよ」

『いーやーでーすっ』

「つれないなぁ〜」



相手チームの戦力が使い物にならない間に勝負は始まった。
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