第三衝突 【66ページ】

『絵麻、すっごく可愛い!!』



早速水着に着替えた私達。この前の休みに絵麻と一緒に買い物に行って、そのときに買った水着。白のセパレートで、胸元に大きなリボン。ゆったりな感じのフリルもついていて可愛らしい感じのデザインだ。一目見たときにコレだって思ったんだよね。一方、私は絵麻のものとシンメトリーになるもので。白ではなくて黒のセパレート。絵麻とお互いの水着を選び合ったのだけど、さすが双子というかなんと言うか…お互いに相手の選んだ水着を知らずに選んだとは思えない。



「そうかな…?変じゃない?」

『うんっ、すごく可愛い!!』



絵麻は可愛らしいものが似合うからいいけどさ、私に一体、これは似合っているのか。それに普段と違ってヘソが出ているのが恥ずかしい。競泳用の水着ならお腹は隠れている。けれどもセパレート型だからお腹は丸見えだ。



「お姉ちゃんも可愛いよ」

『いやいや、絵麻の方が可愛いから』



恥ずかしいからパーカー被っとこ。前のチャックを閉めれば見えないし。あ、でも、そうしちゃうと海に入れないな。泳げないじゃん。

海に行くと、兄弟たちが思い思いに過ごしていた。雅臣兄さんと弥君、要兄さんは浅瀬で水遊び。琉生兄さんは砂でお城を作っている。



「名前ー!!」



そう私を呼ぶのは椿兄さん。大きく手を振っている横には梓兄さんもいる。



「かーいー★ちょーかーいー★」

『ちょっ、椿兄さん、離してっ!!』

「何でパーカーなんか着てるんだよー」



先程まで可愛いを連呼していたくせに、急にムスッとした表情になる。え、何。めんどくさい。



『これ以上日焼けしたくないしね。それに普段と違うから恥ずかしいし』



少し大きめのパーカーでお尻あたりまでは隠れてるはず。学校のプールはいくら室内プールだといえども日焼けする。プールに入るときに日焼け止めを塗るのは厳禁だ。



「名前は泳がないの?」

『泳ぐ。でも今は景色を楽しみたいかなぁって』



バコッという音と共に椿兄さんが離れて、今度は梓兄さんと会話する。ちなみに椿兄さんは頭を抑えている。何もなかったように梓兄さんは話してるけど、きっと拳骨を椿兄さんにかませたんだろうなぁ。でも正直助かった。ありがとう、梓兄さん。
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