第三衝突 【65ページ】
白い砂浜。輝く太陽。そして
『海だー♪』
戸籍のこととか色々あったけれど、無事に島に来ていた。ちなみにメンバーは光兄さん、棗兄さん、朝日奈風斗を除くキョーダイ全員。家に普段いる人たちは何とかスケジュールを合わせて皆で来ることができた。受験生の祈織兄さんも息抜きといって来てくれた。
「名前ちゃん、楽しそうだね」
『祈織兄さん!私、海好きなんだ!だからこんな綺麗なところに来れて嬉しい!!』
「それなら良かったよ」
そう言いながら祈織兄さんはさりげなく私の荷物を持つ。相変わらず王子様スマイルだし。紳士だ、うん。
『祈織兄さん、自分で持つよー?』
「気にしないで。先に部屋を見てきなよ。喜ぶと思うから」
荷物をひょいと上の方へと持ち上げて歩き始めてしまう。祈織兄さんの優しさに甘えようかな。絵麻の荷物を何やらソワソワしていた侑介に押し付けて。私は絵麻の手を握って別荘へ向かった。
祈織兄さんに言われた部屋に入ると、窓から海が飛び込んできた。
『わぁ…』
祈織兄さんの言った通りだった。私と絵麻に割り当てられた部屋は海側で。窓から綺麗に浜辺が見えるようになっている。まるで綺麗な写真の一枚のよう。
「綺麗だね、お姉ちゃん」
『うん、綺麗だね。来てよかったなぁ』
「やっぱり気に入ったみたいだね」
「早く着替えてこいよ」
景色に見とれていると、いつの間にか侑介と祈織兄さんがドアのところに立っていて。ちゃんと部屋まで荷物を届けてくれたみたい。
「他の兄弟たちはもう海に出ているみたいだしね」
祈織兄さんはそう言って侑介を連れて出て行った。うん、やっぱり紳士だ。
『じゃあ着替えよっか』
「うん」
ジュリはと、聞いてみたけれど日差しの強いところは嫌だと、暑いところは嫌だからと、ゲージの中へと戻ってしまった。
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