第三衝突 【56ページ】

絵麻は目を大きく見開いて驚いている。そうだよね。当たり前だ。ずっと隠していたんだから。



『だから知ってたんだ。絵麻、ごめんね』

「そっか…」



あぁ、さっきから私、謝ってばっかりだ。そんな私の手を隣に座っていた琉生兄さんが優しく握る。



「あだ名ちゃん、大変、だったん、だね…」

『琉生兄さん』

「ちぃ、すまなかった。私も実は知っていたんだ」

「ううん。ジュリもつらかったでしょ?みんな私のためを思って黙ってくれてたんだよね」



コクンと私とジュリは頷いた。



「もういいよ。お姉ちゃん、ジュリ。気持ちの整理はついたから」

『本当?』

「うん。もう大丈夫。皆さんにもきちんと話す。お姉ちゃん、いい?」

『うん、二人できちんと話そうか。それで明日、お母さんたちのところに行こう』



私が持ってきた服を絵麻は着て、絵麻の髪の毛を琉生兄さんがセットして。私達の家、サンライズ・レジデンスに向かうこととなった。っと、その前に。



『挨拶が遅くなって申し訳ございません。この度キョーダイとなりました絵麻の姉、名前です』

「あら、礼儀正しいのね。朝日奈光、四男よ。よろしくね」



…確かにこの人は個性が強い。男だって聞いていなかったら、普通に女の人だと思うだろう。それほど前に綺麗な人だった。



『絵麻がお世話になりました』

「あんたもお世話になってもいいのよ?」

『遠慮しておきます。では、ありがとうございました』



どうやらこれから光兄さんは仕事のようで。マンションに来るのかとも思ったけれど忙しいみたいだ。そうして私達は家へと帰った。

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