第三衝突 【52ページ】

私は、いらない子なのかな。本当のパパとママにとっても、今までパパだと思っていた人にとっても。



「パパもお姉ちゃんも何も言ってくれなかった」



パパは美和さんと結婚してから会いに来てくれないし、やっぱりいらない子だったんじゃないかな。お姉ちゃんはこのこと知ってるの?それさえ分からないなんて。お姉ちゃんのことは何でも知ってるって思っていたのに。



「やっと見つけたわ。あんた電話くらい出なさいよね」

「え?」



その声に顔を上げると、以前会った光さん。女の人みたいに綺麗だけれどれっきとした男の人で、朝日奈家の四男らしい。



「もう、濡れちゃってるじゃない。早く帰るわよ」



公園のベンチに座っていた私を強制的に立たせようとする光さん。でも私は抵抗を見せる。



「嫌です。帰りたくありません」

「はぁ?」

「一人で帰ってください」

「あんたねぇ…」



はぁ、と光さんがため息をつくのが分かる。それでも私はその場を動こうとはしない。



「分かった。なら私の家に来な。あそこに帰るよりはいいでしょ」



あくまで提案口調だけれど、それ以外は認めないという強い瞳で。私は頷いていた。
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