第三衝突 【47ページ】

絵麻と初めて喧嘩した原因だった三者面談も無事に終わり、県大会も無事に勝ち、私達は関東大会出場が決まった。明日の学校さえ終われば、もう夏休みかー。そう、もう夏休みは目前に迫っていた。だからといって別に生活が変わるわけじゃないけれど。夏休みの初めのほうには関東大会、全国大会が待っており、学校で授業を受けていた時間が部活をする時間に変わるだけだ。



「名前さん、お帰りなさい」

『ただいま、右京兄さん』

「侑介は一緒ではないのですか?」

『途中まで一緒だったけど参考書買うって本屋に行きました』



そう聞いて右京兄さんは安心したように息を吐く。



『侑介、どうしちゃったんですか?』



侑介が勉強するだなんて明日は槍でも降るのかと思った。変にヤンキーぶって赤点上等って奴の口から参考書なんて言葉が出てくるなんて思っていなかったから。



「あぁ、侑介はあなた方と同じ大学を目指すことになったのですよ。勉強しないといけないという自覚があるようで安心しました。ところで、あなたは大丈夫なのですか?」

『大丈夫、だと思います』 



絵麻ほどは賢くなくても。最悪、水泳で結果を出せば推薦をもらえるかもしれないし。もらえなくても必死に受験勉強すればどうにかなる、はず。

その夜。椿兄さんが言った。



「なー、今年はどうすんの?」

「椿、主語をつけなさい」



右京兄さんの台詞に賛成だ。何を言いたいのか全く理解できない。でも梓兄さんはなんと言うか、さすがと言うか椿兄さんの言おうとしていることを理解したようで。



「島のこと?そうだね。行きたいかな」

「さっすが梓!よく分かってるじゃん★」



いつものことごとくぎゅーっと梓兄さんにくっつく椿兄さん。もう当の前に見慣れてしまった光景だ。”島”という意味が分からず右京兄さんに尋ねる。絵麻も頭に?を浮かべているしね。



『右京兄さん、島って?』

「あぁ。あなた達は知りませんでしたね。母がとある海外の島の一部を所有地として持っているのです」

『「えぇっ!?」』



…すごいよ美和さん。マンションだけでなく島も持ってるなんて。



「行くなら夏休みにですね。皆さん予定は?」

「僕達は忙しいかな。イベントとかあるし」

「私は初めの週に補習があります。それ以外は特に」

「俺も補習があるな」

「僕は受験生だし遠慮しておくよ」



それぞれに現段階で決まっている予定を言っていく。梓兄さん、絵麻、侑介、祈織兄さん。家にいるのはそれから私と右京兄さんだけだった。



「名前さんはいかがですか?」

『私は部活の予定によります。それらお盆には合宿があるのでそこは絶対に無理です』



右京さんは皆の意見を聞いた上で提案を述べる。



「そうですか…では比較的融通の利く学生組が大人組に合わせてもらえますか?」

「分かりました」



あ。水着買わないと。さすがに競泳水着って、ねぇ?絵麻も水着買わないといけなかったと思うから一緒に買い物でも行こう。
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