第二衝突 【40ページ】

結局、絵麻と禄に話せないまま一週間が過ぎた。自分にも三者面談の紙が配られて絵麻にばかり気をとられるわけにはいかないようになった。



『雅臣兄さん』

「どうしたの名前」

『三者面談のことで相談が。一緒に来てもらいたいのですがこの日、大丈夫ですか?』



絵麻のいるリビングで言ったのは私はちゃんとキョーダイに来てもらうということをアピールしたかったから。



「僕、その日は夜勤があるから駄目だな。右京は?」

「私なら問題ありません」

「なら右京に頼んでいい?」

「分かりました雅臣兄さん」

『よろしくお願いします。右京兄さん』



こうやって次男の右京兄さんが私の三者面談に来ることとなった。そんな時、朝日奈家の電話が鳴る。



「あ、私が取ります」



一番近くにいた絵麻が電話を取った。その表情はみるみるうちに明るくなっていく。



「パパ!」



あぁ、お父さんからか。絵麻の笑顔に納得する。ジュリはいつの間にか絵麻の肩から移動して私の肩へと上ってきた。



「おいあだ名」

『どうしたのジュリ』

「絵麻と喧嘩でもしたのか?絵麻が落ち込んでおったぞ」

『ちょっと、ね』



絵麻、ジュリにも話してなかったんだ。いい加減にどうにかしないとと思ってはいるけれど。避けられているのに無理矢理話しかける勇気なんて私にはなかった。拒否られるのが怖いんだ。

お父さんと初めは笑顔で話していたけれども絵麻は段々と暗くなっていった。



「そっか…うん、うん。大丈夫だよパパ。じゃあまたね」



そう言って電話を受話器に置いた絵麻の表情に笑顔はない。



『絵麻?お父さん、何だって?』

「…パパ、結婚式まで帰れないって」

『そっか』



そのまま絵麻はリビングを出て行ってしまった。正直言うと追いかけたい。けれど追いかけて何を言っていいのか分からない。でもただ純粋に絵麻と久しぶりに話せて嬉しかった。こんな私じゃ駄目なんだよなぁ。



『…っよし!』



絵麻ときちんと話そう。ううん。ちゃんと話し合わないといけないんだ。いつまでも逃げていたって現状が変わるわけじゃない。



『待って、絵麻』



私は絵麻を追いかけて駆け出した。

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