第二衝突 【33ページ】

「嫌だ!お姉ちゃんとがいい!!」



珍しい大声に気になって現場へ行ってみた俺、朝日奈侑介。そしてその光景に驚愕の表情を浮かべた。



「日向!?それに名前!!」



この二人が喧嘩をしているところなんて学校でも家でも見たことがなくて。驚くのも当然だと思う。チラッと名前と目線が合わさったような気がしたけれど俺なんかいないかのように名前は言葉を続けた。



『絵麻、我侭言わないで。私だって忙しいの。分かるでしょ』

「だって、だって………分かってくれないお姉ちゃんなんて大っ嫌いっ!!」



悔しそうに唇を噛み締め、走り去っていった日向。



「お、おい日向!!」



名前の表情も辛そうだったが俺は日向を追いかける。足だけは速い俺は簡単に日向に追いついた。



「おい日向!!」

「…ゆ、すけ君………」



無理矢理顔を自らの方に向けてみると彼女は涙目で。追いかけたものの、どうすればいいか分からない。



「な、泣くなよ!な!?」



ゴシゴシと慌てて服の袖でぬぐいてやる。



「わ、わりぃ!痛かったか?」



日向の眼の周りが真っ赤になってしまって俺が強く擦りすぎたのだと理解する。慌てる俺を見つめて日向は軽く笑った。



「ふふっ、ありがとう侑介君」

「っ、あ、あぁ」



笑顔が可愛くてしどろもどろになってしまう。…っとそれよりも



「名前と何があったんだ?」



瞬時に顔を逸らす日向。そして黙り込んでしまった。



「日向?」

「…ううん、大丈夫だよ」

「そうか?」



心配かけてごめん、と彼女は言って去って行った。大丈夫だというから大丈夫なのだと思っていた俺が浅はかだったと分かるのはそれからすぐのことだった。
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