第二衝突 【18ページ】

家の都合なんて関係なく学校はいつも通りある。つまらない授業を聞いて(寝て)、休み時間には男友達と遊んで、右京兄さんが作ってくれたお弁当を食べる。



「名前君、相変わらずカッコいい〜」

「ねぇねぇ放課後遊ぼう!?」

「名前君、今日も綺麗です!」



廊下で女の子に囲まれるのもよくあること。女の子は可愛らしいし好きだけど、女友達は作らない。横一列とか睨み合いとか女同士の闘いが面倒だから。私には絵麻がいればいいし。



『ありがとう、でも君のほうが私なんかより綺麗だよ?一生懸命美容を保っているんだね』



別にでまかせじゃない。ただ本心を言っているだけ。女の子は愛でるものだと思ってるし。だけどその言葉に頬を真っ赤に染める女の子たち。予鈴が鳴り、その子たちがいなくなった後、教室から廊下へ頭を出している男子生徒が声を掛けてくる。



「相変わらず人気だなー名前」

『あ、和馬じゃん。はっはーん、羨ましい?』

「いーえ、大変だなってさ」

『棒読みになってるよー?素直に羨ましいって言えばいいのに』



彼は絵麻のクラスの佐々倉和馬。侑介と一緒で一年のときは私と同じクラスだった。今は絵麻と同じクラスの一人だ。サッカー部主将で毎日大変そうに部活している。私も休みの時にたまに参加する。スポーツは得意だし。



「名前ー、あと5秒くらいで本鈴鳴るぞ?」

『え、嘘!?ぎゃぁぁぁあ、鳴った!?もっと早く言ってよ!!』



…先生が遅れてきたので何とか遅刻にはならなかった。廊下をダッシュしたけど。ちくしょう、和馬め。もっと早く言ってくれたっていいじゃん!!





名前は部活を早々と切り上げて家へと帰ってきた。昨日は皆と食事を共にすることが出来なかった為、今日くらいは一緒に食事をしようと思ったのだ。これからは部活で皆より遅い時間となると予想していた。

台所を除いてみると絵麻が右京兄のお手伝いをしていた。本当の兄妹みたいだな、なんて思いながら名前は部屋へと戻る。料理は担当でなかったので上手というわけではないのだ。



『おいしそう!』



綺麗な料理が並ぶ。彩り豊かで野菜が可愛い形に切られてあったり写真を撮りたくなるような出来栄え。そういえば自分の食べる席は…と探していた所、とても遠慮したい位置、椿兄さんと梓兄さんの間に一人分空いていた。



『………』

「名前ー、こっちこっち」



椿は期待を込めた瞳で名前を見て、こっちだと手招きする。…そこだけは嫌だった。絵麻のほうをチラッと見ると弥君と笑顔で何やら話していた。和やかで何よりだ。要兄さんの隣とか本当危険でしかないし。私の隣にも危険人物2号さんがいるようだけれど仕方ない、か。私が席に着いたところで賑やかな夕食は始まった。

お父さんが再婚して沢山の兄弟と一緒に暮らすこととなって。いろいろ大変なこともあるだろうけど、いつか本当の家族になれたらいいなぁ。

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