第六衝突 【201ページ】

絵麻には笑顔を見せる名前だが、他の兄弟達に見せるものは作った表情となっていて。それは自然と笑わなくてはと思っていることからなのかもしれない。

あれほど明るかった彼女は暗くなり、自室に篭ることが多くなった。食事もリビングにやってくることはなく、誰かが届けなければ禄に食べない日があった。



「名前、ご飯ここに置いておくね」



…いつも通り反応はない。だが少しでも減るご飯に安心している兄弟達。今まで通り沢山食べなくてもいい。少しずつ元気になって、いつか部屋から出てきてくれれば。兄達は仕事のために侑介が食事を片しにきたことだった。ガッチャーンとすごい音が部屋の奥から鳴った。



「名前!?大丈夫か!!」



ガチャ…と簡単にドアが開いたのに驚きながら名前の部屋の中へと入る。



「なっ…!?」



侑介は目の前の光景に驚いた。名前が今までに取ったメダルにトロフィーを床に叩きつけ、額縁に入った賞状までも破り捨てている。



「なにしてんだよ名前!!」



手首を掴んで行為を止める侑介。だが今、腕を掴まれているのが誰だかわからないような様子で名前は振り払おうと力を込める。



『離してっ…も、やだ…!!放っておいてよ私のことなんて!!』



ガタガタガタと震えて、興奮している彼女を抑えなければならない。侑介は大声を出して誰かを呼ぶ。兄弟の誰かが気付いてくれることを祈って。



「侑介君、どうし…」



部屋にやってきたのは琉生だった。暗い部屋。床に散らばった物、男が女を無理矢理押さえつけている状態に琉生は驚きを隠せない。



「琉生兄!!ちょっと手伝ってくれ!食事を片付けにきたら大きな音が鳴ってよ…」

「うん、分かった」



名前が手に持つ楯を取り上げて。どうにか琉生は落ち着くように名前に言い聞かせる。作戦は聞いたようだ。名前はまるで泣きつかれた子供のように寝入ってしまった。



「あだ名、ちゃん…。侑介君、この、部屋の、片付け、手伝って………」

「あ、あぁ」

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