第六衝突 【198ページ】





「おっそいなぁ…まだ泳いでたりしてー」



椿は駅の柱にもたれ掛かりながら呟いた。今日はお互いあまり遅くならない予定だからデートしようと誘ったのは椿だ。名前はもとから遅くなるかもしれないと言っていたから多少は仕方ないと思える。だがもう約束の時間から30分は経過していた。基本的に時間はきっちりと守る名前のことだから、きっと泳いで時間が分からなくなっているのだろうと椿は考えていた。もう少しだけ待って、まだ来なかったら一回連絡入れてみっかなー、なんて楽観的に。

彼女を待つ時間。それも椿は好きだった。こちらの方に駆け寄ってくる足音、慌てたような表情。そんな名前が好きで。だから自分はワザと早く待ち合わせ場所に行ったことなんかもあった。



「やっぱり変だよなぁ…」



もう約束の時間から1時間は経過しようとしている。おかしい。名前なら連絡を入れているはずだ。約束を忘れてしまったのかと思い、家に連絡してみるが、まだ帰ってきていないとの事。ますます怪しい。何かあったのではないか。そう考えた椿は待ち合わせ場所から名前の大学に向かって走り出した。

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