第六衝突 【193ページ】

底まで見えるほど綺麗な海水。私たち朝日奈兄弟たちはお母さんが所有する島へと遊びに来ていた。



「お姉ちゃん、見て見て!魚が泳いでる!!」



きゃっきゃっとはしゃぐ妹を見て、この旅行に参加するか悩んだことなんて頭から吹っ飛んだ。今回の家族旅行に参加しているのは光兄さんと三つ子の兄達、そして侑介、私たち姉妹と比較的少な目だ。他の人たちは仕事の都合上(弥君は塾のため)不参加となったのだ。



「…なんで俺まで」

「なーに棗。不満?せっかく僕達が呼んであげたのに」

「そーだぞー!協調性の無い棗を誘ってやったんだから感謝しろよなー!!」

「………はぁ」



なんて半ば双子たちに強制的に連れてこられた棗兄さんも。



「アンタいつまで妹サンとお友達でいるつもり?」

「ななな、何言ってんだよひか兄!!」



光兄さんにからかわれて真っ赤になっている侑介も。皆してテンションが高い。

島に着いたらまず別荘へ。そこで水着に着替え、ビーチに集合。まだ肌寒いんじゃないかと思っていたけれど、ここは離島。東京なんかよりはるかに暑かった。



『絵麻可愛い〜!新しい水着似合ってるね!!』

「そう、かな?旅行が決ってからまほちゃんと一緒に買いにいったんだ」



セパレート柄でコットンレースのトップスと花柄ボトムの組合せ。水色のトップスは可愛いガーリーなデザイン。透明感のある花柄のボトムスと合わさってオシャレな感じ。しかもボトムはウエスト周りにフリルレースで可憐な印象を演出している。何やら聞いたところによると今年の流行は花柄らしい。だからそれを上手く取り入れたという感じだろう。
私はビーチに映える蝶々柄ビキニ水着。その上に透け感のあるメッシュ素材のボーダータンキニを着て。ボトム&スカートのウエスト部分もタンキニと同じ素材。2段フリルはお尻をカバーしてくれる。このパープルの色に惚れたんだよね。ブラの胸元とボトムスのサイドにあるリボンも可愛くて。ちょっと大人っぽいかな、なんて思いながらも新しく買ったもの。

二人とも青系の色を選んではいるけれど、謂わばカッコいい系と可愛い系だ。そういうところは絵麻と全く似ていない。



『お待たせ〜』

「お、お待たせしました」



ビーチで遊んでいた兄弟達が一斉にこちらを向く。段々と頬を染めていく姿は何というか、滑稽だ。



『あはっ。みんな見惚れちゃった?』



何て軽口を叩きながらタンキニの襟を開き、ビキニ部分がよく見えるようにしてみる。すると侑介は真っ赤になって固まってしまった。あらら、やりすぎちゃった?そう思っていると椿が私に近づいてきた。



「ちょっとー、名前は俺のなんだから見ないでよねー」



ふさっとかけられたパーカー。ビキニにタイキニ、パーカーは暑すぎてすぐに返品したけれど。そこからは自由に砂のお城作ったり、泳いだり。パラソルの下で休憩なんかもしたり。皆、思い思いの時間を過ごしていた。
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